2015年、シンギュラリティに夢中になった
皆さんは「シンギュラリティ」、もしくは「2045年問題」という言葉をご存知ですか?この数年、よく耳にする方も多いかと思います。
私は「シンギュラリティ」を2014年終わりに知り、2015年、じっくりと関連書籍を読みました。これが本当に面白くてワクワクする、遠いようで近い未来のお話しなのです。
30年後にやってくる「かもしれない」シンギュラリティについて、本と映画という観点からまとめてみたいと思います。
シンギュラリティ、2045年問題とは
まずはシンギュラリティについておさらいしておきましょう。
「シンギュラリティを語る会」の公式サイトによれば、シンギュラリティをこのように説明しています。
シンギュラリティとは技術的特異点(Technological singularity)とも言われ、人工知能(Artificial Intelligence)の能力が人類の能力をはるかに超越する時点、または出来事をいう。米国の未来学者で発明家のレイ・カーツワイルは2045年頃に人類文明は特異点に突入すると予測している。
「シンギュラリティへの道」講演概要 | シンギュラリティを語る会
シンギュラリティは「時点」でもあり、「出来事」そのものも指す言葉として紹介されています。その両方を内包する言葉ゆえに、少し分かりづらい印象を受けるのかもしれません。
レイ・カーツワイルは人工知能(AI)研究の世界的権威であり、特にシンギュラリティ(技術的特異点)に関する著述で知られています。
カーツワイル曰く、「人工知能が人類の能力を超越する時(=シンギュラリティ)が、2045年にやって来るだろう」と予測しており、それを「2045年問題」と呼びます。
2045年問題について指摘した著作が “The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology” で、邦題は「シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき」です。 ((2007年には「ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき」という邦題で出版されましたが、2016年に出版されたエッセンス版では、より原題に近い「シンギュラリティは近い」と改題されています。))
人口知能とは
ここで、人類を超越する日が来ると言われている、「人工知能」について見ていきます。
「人工知能」は、AIとも言われます。簡単にいうと鉄腕アトムやドラえもんの頭脳と考えると分かりやすいかもしれません。A.I.という映画もありましたね。
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近年、棋士が人工知能を組み込んだ将棋ソフト「PONANZA(ポナンザ)」と対局する電王戦や、囲碁の世界ではGoogle DeepMind社が開発した囲碁プログラム「AlphaGO(アルファ碁)」とプロ囲碁棋士との対局など、囲碁・将棋界隈では人工知能が注目される場面が多くありました。
AlphaGOは世界トップ棋士である柯潔に勝利したことで人類との対局を引退、2017年に行われた佐藤天彦叡王とPONANZAの対局もPONANZAが勝利を収めており、すでに人工知能は人類の能力を超えていると言えるかもしれません。
狭いAIと広いAI
しかし、囲碁・将棋界隈で活躍しているAIはいわゆる「狭いAI(narrow AI)」と呼ばれるものです。
これは、できることが限られているAIで、囲碁や将棋など特定の分野にのみ特化しているものの、それ以外のことはできません。
つまり、専門に特化した狭い使い方しかできないAIを、「狭いAI」と呼びます。
それに対して「広いAI(general AI)」は、特定の分野に限らず何でもできる、いわば「汎用AI」と呼ばれるものです。教えたことだけでなく、臨機応変に空気を読んで最適な反応を示すことができる、高度なAIを指します。
PONANZAやAlphaGOのような、囲碁や将棋に特化したAIは、「狭いAI」といえます。言ってしまえば単なるゲームロボットに過ぎず、ドラえもんや鉄腕アトムのような「広いAI」はまだまだ開発が難しそうです。
2045年問題と松田卓也先生
さて、私が2045年問題を知ったきっかけは、実行委員をしていた「神戸ITフェスティバル2014」に松田卓也先生をお招きして講演をして頂いたご縁がきっかけでした。
松田卓也先生は宇宙物理学者・理学博士であり、神戸大学名誉教授で、2012年にそのものズバリの著作、「2045年問題
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映画作品から2045年問題を紐解いたり、Apple製品の話も出てきたりと、様々な切り口でわかりやすく解説されています。入門書として最適な1冊なのでオススメです。電子書籍版もあります。(私は最初に電子書籍版を購入して、ぜひ手元に置いておきたいと思い紙の本も買いましたw)
日本のシンギュラリティの最先端を体感できるサロン、「シンギュラリティサロン」
そんなご縁で私が紛れ込んだのがシンギュラリティを語る会、「シンギュラリティサロン」です。
「シンギュラリティサロン」は松田卓也先生が設立された会で、2015年から月に1度、無料の公開講演会が開催されています。大阪(グランフロント大阪)が中心でしたが、非常に人気で、東京でも開催されています。
マツコ・デラックスさんそっくりなマツコロイドや、黒柳徹子さんにそっくりなアンドロイドtottoを作って話題になった大阪大学の石黒先生や、「ウェアラブルデバイスの伝道師」神戸大学の塚本教授など、毎回豪華な方々のお話を聞くことができて本当に面白いです。
少しでも興味がある方はシンギュラリティサロン公式サイトをチェックしてぜひご参加ください。知的好奇心が刺激されること請け合いです。
映画でみるシンギュラリティ
百聞は一見にしかずと言いますが、ここでシンギュラリティを端的に理解できるような関連映画をご紹介します。
ただし映画では、しばしばロボット(コンピュータ)の反乱といった描かれ方をするものが多いため、暗かったり、悲しい結末になりがちです。
- 1968年:2001年宇宙の旅
- 1995年:Ghost in the Shell(アニメーション作品)
- 1999年:マトリックス
- 2008年:イヴの時間
(アニメーション作品) - 2014年:トランセンデンス
- 2014年:her/世界でひとつの彼女
他にも、ターミネーターもシンギュラリティ後の世界を描いている作品ですね。
her/世界でひとつの彼女
また、イヴの時間
人工知能やシンギュラリティについて書かれている書籍では、このような映画を引き合いに出して解説しているものも多いです。(2045年問題
まずは「シンギュラリティ入門」として、映画から観るのも良いかもしれません。
海外のシンギュラリティの見方
「ターミネーター」や「2001年宇宙の旅」の共通項として、コンピュータの反乱が挙げられると思います。これらに象徴されるように、海外ではシンギュラリティは脅威だとする悲観的な見方が多いようです。
例えばホーキング博士も、「人工知能は危険だ」と警鐘を鳴らしていますし、起業家のイーロン・マスクも人工知能脅威派ですし、ビル・ゲイツも「人類はロボットを恐れるべきである」との見解を述べています。
海外の有識者や権威たちは、シンギュラリティを恐れ、危機感を持っているようです。
日本では逆に、人工知能が発達したら人間の不要な仕事が減るなどの楽観論が多いように思います。昔から鉄腕アトムやドラえもんなどのロボットアニメで育ってきたからかもしれません。
私個人の見解では、30年後に人工知能の能力の「暴発」が起きるとすると、人類の力でそれを抑圧することはできないのではないかという点では恐れを抱いています。
ただ、あと30年の間にうまく人工知能と共存する方法を模索していけるのではないかという楽観視もしています。
書籍で読むシンギュラリティ
最後に、シンギュラリティ、2045年問題について書かれた書籍を幾つか掲載しておきます。特に最近は日本でもたくさんの書籍が出ていますね。
いちばん読むべき本はおそらくカーツワイルの「ポスト・ヒューマン誕生」でしょうか。かなり分厚い本ですがそれほど難しくはないと思います。
日本放送出版協会
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電子書籍版は紙の本よりもお値段がだいぶ安くなっています。※タイトルが紙の本とは異なり、「シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき」
柔らかい入門書としてはこちらがオススメです。対話形式で進んでいくので、スラスラと読めます。
KADOKAWA/中経出版
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もう少し詳細に知りたい場合は東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」の著者でもある、松尾 豊教授の単著がオススメです。
KADOKAWA/中経出版
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雑誌で面白かったのがWIREDのA.I.特集号です。紙の本を買うとpdf版を無料でDL出来るのも良かったです。家では紙の本、出先ではKindle Fireタブレットで読んでいます。(文字サイズが可変ではないのでPaperwhiteだと読みづらいです)
松田卓也先生の新著人類を超えるAIは日本から生まれるもおすすめです。
廣済堂出版 (2015-12-28)
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おまけ:音楽で聴くシンギュラリティ
タイムリーなことに、この記事を書いているとシンギュラリティをテーマにしたアルバムが発売されることを知りました。2016年1月20日に発売されたSchroeder-Headzの3rdフルアルバムで、その名も「特異点
気になる方はVictor Entertainmentのページで視聴可能です。