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号泣しながら読んでしまった重松清の「とんび」


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ヤスさんの人生を追体験する物語

これは広島という土地に生きる、決して器用ではないが、真っ直ぐで馬鹿正直な「ヤスさん」の物語です。

とんび (角川文庫)

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう―。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。

広島県という土地柄が絶妙に良かった

舞台は広島県備後地方。備後とは、現在の尾道市、福山市、三原市など、広島県の東部です。


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これがまた、良かった…。

広島という土地は祖父母が住んでいる事もあり、年に二度は訪れる場所です。豊かな自然と朴訥な広島弁。祖母の広島弁を、いつも「いいなぁ」と思って、心を暖かくして聞いています。そのお陰もあって、ヤスさんたちが話す広島弁が、完全な広島弁として脳内再生されるので、読んでいてとても自然に頭に入って来ました。

故郷に残るか、離れるか

私は故郷を18歳で離れてから、生活の拠点を故郷へ戻した事はありません。今では普通になりましたが、ヤスさん達が若い頃には、大学進学率も今ほど高くなかったでしょうし、故郷を離れる人はほとんどいなかったかもしれません。

私は両親や祖父母を故郷に残して、外の世界に出る事を選びましたが、それが良い事とも悪い事とも分かりません。少なくとも、自分は外に出る事について疑問を覚えなかったし、両親も外に出る事を応援してくれました。それはそれで幸せな事だったのだと思います。お陰で、故郷に後ろ髪を引かれる事なく、自分の人生を歩む事が出来ています。

両親も祖父母も、ヤスさんのように、私の転出を寂しがっていたのだと思います。でも、これまであまりそのことについて考えてきませんでした。ヤスさんの言う「パンドラの匣」のように、敢えて見ないふりをしてきたのかもしれません。

でも、子どもと離れて寂しくない親はいません。
私の転出を応援してくれた家族も、一度出ていけば二度と戻っては来ないと覚悟を決めていたのかもしれません。もしくは、またいずれ戻ってくると楽観視していたのかも…。

今は大学進学率も高く、生まれ故郷に良い大学が無い場合などもあり、転出する人が増えて来ています。そして、そのまま故郷に戻らない人も多いとおもいます。それは時代の流れとして仕方の無いことかもしれませんが、「とんび」を読んで改めて、我が身を振り返ることができたと思います。

1/3程読んだくらいから、ずっと号泣

何に泣けたかって、子を思う親の気持ちです。親から子への無償の愛にすごく共感しました。例えて言うなれば、さだまさしの「案山子」や、「親父の一番長い日」を聞いて泣いた時と似ています。

案山子  さだまさし – 歌詞タイム
親父の一番長い日 – さだまさし – 歌詞 : 歌ネット

もしこれから読まれる方は、休前日に読む事をオススメします。もし平日に読んでしまうと、号泣して翌朝目がパンパンに腫れます…。(私がそうでした)

ドラマで見てみるのも面白いかも

今期から始まる小説が原作のドラマまとめという記事にも書きましたが、「とんび」がドラマ化されます。
2013年1月13日(日)夜9時スタートなので、まだ第一話に間に合いますよー。

TBSテレビ:日曜劇場『とんび』 *

http://www.tbs.co.jp/TONBI/

とんび (角川文庫)

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