魍魎の匣

思わず徹夜してしまうほど面白かった本


徹夜してしまったり、続きが気になりすぎて日常生活に支障をきたす本って、ありますよね。
高校時代には仮病で休んで読んだ本や、授業中にこっそりと読んだ本もあります。(あまり褒められたものではありませんが、寸暇を惜しんで読んでいたものです…。)
その中から幾つかをピックアップしてみましたのでお付き合いください。

貴志祐介「黒い家」

黒い家 (角川ホラー文庫)
黒い家 (角川ホラー文庫)

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貴志 祐介
角川書店
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じわじわと浸みてくるような「人間の怖さ」から目が離せない。
幽霊やスプラッタ的な怖さではなく、「人間の心のグロテスクさ」とでもいうべきものが見える。
夜寝る前に読み始めたら止められなくなり、トイレに行きたいのに怖くて行けず、朝まで一気に読み進めたのは良い思い出。

京極夏彦「魍魎の匣」

魍魎の匣 (講談社ノベルス)
魍魎の匣 (講談社ノベルス)

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京極 夏彦
講談社
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「姑獲鳥の夏」に続く、「京極堂シリーズ」の第二作。
一作目でキャラクターと作品の雰囲気を気に入り、二作目でのめり込むパターンが多いのですが、これはその典型。
(もちろん、単純に本作が面白かったという見方もあるかもしれませんね。)

  • 少女二人の脆く危うい関係性
  • 「匣」という独特な空間
  • 「ほう」という、溜息とも吐息ともつかない不思議な音声

などなど、この作品の面白い要素は枚挙に暇がありません。
濃いキャラたちも魅力的で、エキセントリックで傍若無人な探偵”榎津”、鬱々とした気弱な小説家”関口”、「この世には、不思議なことなど何もないのだよ、関口くん。」が口癖の古本屋兼陰陽師の”京極堂”など、当時高校生だった私は、あたかも彼らが実在するかのような錯覚に陥ったものです。

今だったら寧々さんが表紙の「ラブプラス版」も話題ですねw

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)
文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

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京極 夏彦
講談社
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寧々派としては、大好きな作品とコラボしていて嬉しい限りです。

高村薫「レディ・ジョーカー」

レディ・ジョーカー〈上〉
レディ・ジョーカー〈上〉

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高村 薫
毎日新聞社
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レディ・ジョーカー〈下〉
レディ・ジョーカー〈下〉

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高村 薫
毎日新聞社
売り上げランキング: 129896

合田刑事シリーズ二作目。
一作目で気に入り、二作目でのめり込むパターン、再び。
もはや私の鉄板パターンです。
ただもうひたすら合田刑事がかっこよくて、展開が気になって仕方ありません。
「森永グリコ事件」に着想を得て書かれたとされており、現実に起きた事件と比較しながら読んでも面白いです。
”あの事件ではどうだったかな”、と調べてみたりもしたものです。
上下巻ではありますが、ストーリーの疾走感からか、長さを全く感じません。

シンプルだけど存在感のある、タイポグラフィの表紙も好きです。
恥ずかしながら、高校時代は真剣に合田刑事に恋をしていました。そんなジャンルの小説じゃないのに、ときめきながら読んでいました。
それもある意味正しい小説の楽しみ方だと…思いたい…。

湊かなえ「告白」

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

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湊 かなえ
双葉社
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教師の独白から物語がスタートしますが、いったいどこで、どんな場面で語られているのか、明確な説明が無いまま、淡々とストーリーが展開。
徐々に残酷な事件の片鱗が見え始め、「いやな予感がするけど、きっと最悪の事態はないだろう。」とたかをくくって読んでいくと、どんどん予想外の方向へ。
最後にはすべての辻褄がピッタリと合って、ようやく全貌が見えたときには…。
そこに希望はあるのでしょうか?

トルストイ「アンナ・カレーニナ」(上・中・下)

アンナ・カレーニナ〈上〉 (岩波文庫)
アンナ・カレーニナ〈上〉 (岩波文庫)

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トルストイ
岩波書店
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アンナ・カレーニナ〈中〉 (岩波文庫)
アンナ・カレーニナ〈中〉 (岩波文庫)

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トルストイ
岩波書店
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アンナ・カレーニナ〈下〉 (岩波文庫)
アンナ・カレーニナ〈下〉 (岩波文庫)

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トルストイ
岩波書店
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村上春樹の「TVピープル」に収録されている「ねむり」という作品を読んだ際、

「幸福な家庭の種類はひとつだが、不幸な家庭はみんなそれぞれに違っている」

という「アンナ・カレーニナ」の冒頭が引用されていました。
眠れなくなった主人公が繰り返し読む小説が「アンナ・カレーニナ」です。
そんなに繰り返し読むなら面白いに違いない、と思って手にとったのがきっかけでした。

一言で表すなら”ロシアの上流階級群像劇”といった感じですが、登場人物の感情の機微が、比喩を多用して表現されていて面白い!
人を愛する気持ち、労働の喜び、経営の困難など、上流階級の生活を微細に切り出していて、続きが気になる気になる。
「アンナ・カレーニナ」と「コンスタンチン・レーヴィン」という二人の人生を大きな柱として、周囲の人物の視点からも描かれ、物語は進んでいきます。
主軸はやはりアンナの恋愛。当時のロシアの婚姻に関する法律も垣間見えて、歴史風俗の観点からも面白かったです。
(女性はたとえばダメ夫との離婚でも、その夫が死ぬまで再婚できないそうです。不公平ですよね。)

絶望や幸福、憎悪や悲哀が見事に表現されていて、読者としてもニヤニヤしたりイライラしたり、その世界観に没頭してしまいます。
1日の徹夜で読み切るのは難しいですが、「何を置いても早く続きが読みたい!」症候群にかかってしまうので、時間のあるときに読むことをお勧めします。

ちなみに訳者は「木村浩」さん版と「中村融」さん版がありますが、岩波文庫の「中村融」さん版で読みました。
会話文が全て「―」で始まるといった多少の違和感はあるものの、ストーリーが面白いので慣れたらスルスル読めます。
トルストイでは本作を初めて読みましたが、これを選んで正解だったと思います!(「戦争と平和」より取っつきやすそうだし。)

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