アメリカではKindleよりタブレットが人気?アメリカ電子書籍事情
アメリカでは一周回ってタブレットブームらしい
アメリカの電子書籍事情について書かれたこちらの記事が面白かったです。
日本ではKindleが注目されていますが、一歩先を行くアメリカでは、Kindleを辞めてタブレットPCで読書をする人が増えているのだとか。逆に、Kindleで読書する人は「かなりの読書家」というイメージらしいです。
というのも、シンプルな機能に絞られているKindleでは、読書しかできません。暇つぶしに読書をするライトな読書家達は、読書に飽きても別の事が出来る、タブレットPCに流れているそう。一方、ハードな読書家は、長く電子書籍を読めて、シンプルで最低限必要な機能を備えており、しかも軽くて運びやすい、Kindleをチョイスするのだとか。
確かにKindleの充電の持ちはパネェっす。旅行中などは、移動中にちょこっと読むくらいなら何日でも充電無しで使えます。(3泊4日を余裕で過ごせました)
ははーん、アメリカでは色々出来る小さい端末の需要が増えて、それで相次いでGoogleのNEXUS 7とかiPad miniとか出てた訳ですね。(したり顔)
ただ、アメリカでは段階的にそういった端末の流行が生まれているようですが、遅れをとっている日本には、Kindleとミニタブレット群が一度に押し寄せてきた訳です。土壌が肥沃で無いのに、道具だけは充実しているという状態です。
広大な国アメリカは、日本ほど気軽に本を入手できない
アメリカでは、土地が広大なため、「翌日配送」が一般的では無い様子。読みたい本をネットで買っても、届くのは数日後だとか。
また、「クルマ文化」なので、仕事帰りに本屋に寄って本を買うという事が、日本よりも少ないようです。
こうした事情もあって、ダウンロードしてすぐに読める電子書籍の需要が日本より高く、急速に電子書籍市場が広まったのでしょうね。
日本は狭いので、殆どの地域で「翌日配送」が可能です。電車通勤の人も多く、駅の中に本屋があるなど、ふらりと本屋に立ち寄れる環境が整っています。そういう意味では、「電子書籍が無いなら紙の本でもいっかー」という、どっちつかずの人の割り合いが、アメリカより多いのではないでしょうか。
新たなサービス展開も
一冊ごとに課金するスタイルだけでなく、月額制でストアの中から3冊を選んで読む、なんていうサービスもあるようです。確かに、動画でいうとHuluなんかも月額制で好きなコンテンツ見放題だったりしますから、電子書籍でやっても面白いかもしれません。
2000年には、スティーブン・キングが面白い試みを開始しています。「ザ・プラント(The Plant)」という書籍で行われた試みです。
- 企画段階から、読者の意見を参考にして創作された
- 作者から読者へ直接販売する(出版社を介さない)
- 章ごとに販売する。不正コピー防止策として、各章でダウンロード数の75%の支払いがないと、連載を打ち切る
これらについて、「日本図書館研究会」のサイトから見られる以下のコラムに、詳しく書かれています。
コラム 52巻4号
さて、実験結果はどうだったのでしょうか。
【コラム】シリコンバレー101 (218) スティーブン・キングも失敗したDRMフリー、EMIの勝算は? | エンタープライズ | マイナビニュースにその結末が書かれていました。
このプロジェクト、第1章は難なく75%を超えたが、第2章で70%になり、それでもキングは第4章まで様子を見ることを決断。だが、1章/2章よりも高い2ドルで販売された3章と4章に読者が音を上げ、支払い率は50%以下に落ち込んでしまった。結局、結末は出版されず、未完作品となっている。
キングは読者を信頼するオナーシステム(Honor System)を”失敗”と結論づけたが、ファンや読者の間からはアイディア自体は機能していたという声があった。
「the plant stephen king」で検索してみても、torrentファイルのリンクが上がってきたりと、不正コピーには打ち勝てなかったようですね。未完成というのはなんとも残念な結果です。
しかし、作者から直接読者へ、という流通方法は、印刷所を通らない電子書籍ならでは、といった感じです。販売経路はAmazonからだそうなので、読者も手軽に購入可能です。
紙の本がいつでも買え、アメリカほどには電子書籍化の急を要していない日本で、果たして市場は拡大していくのでしょうか。今後の動向が楽しみです。
「本の虫」ほど電子書籍を買う
1年前にVisual.lyに追加されたインフォグラフィックスですが、電子書籍リーダーを持っているユーザほど、多くの本を読む傾向にあるようです。電子書籍は紙の本より安価なので、同じ金額でもよりたくさんの書籍を読む事ができますね。
Kindleがやってきた日本で、果たしてどれだけ電子書籍市場が伸びるのでしょうか。