女王は読書に夢中!アラン・ベネット著「やんごとなき読者」
大人の寓話「やんごとなき読者」
無邪気な女王、読書の面白さに目覚める
「やんごとなき読者」は、移動図書館を訪れたのがきっかけで読書の面白さに目覚めた、イギリス女王の物語です。
読書の面白さ、理解されない読書熱など、本好きの私には共感できるところが多々ありました。
何より、女王がチャーミングでとても楽しく読めます。女王可愛いよ女王。
さて、女王が読書について考察している箇所で、「わかるー!」と思った場面を以下に引用します。
読書の魅力とは、分け隔てをしない点にあるのではないかと女王は考えた。文学にはどこか高尚なところがある。本は読者がだれであるかも、人がそれを読むかどうかも気にしない。すべての読者は、彼女も含めて平等である。文学とはひとつの共和国なのだと女王は思った。
(中略)
本は何者にも服従しない。すべての読者は平等である。
(「やんごとなき読者」40-41ページより)
ありきたりで使い古された言い方ですが、「読書の前には身分なんて関係ない」ということでしょうか。
本の前には金持ちも貧乏も、女王も平民も関係ない。ただの「読者」という並列な立場にあるわけです。
女王の読書熱は歓迎されない
これは読書に限らず言えることですが、誰かが何かに夢中になって、仕事が疎かになったり、熱くそれについて語って布教すると、たいていは疎ましがられます。
これは何故でしょうか。
おそらく、当人にとって興味の無いことや、価値が理解できないものを押し付けられるのが苦痛なのでしょう。
女王の家族が読書熱を疎ましく思う理由が書かれているシーンがあります。
ただ、本を読みなさいと言ったり、しつこく本の話ばかりしたり、ふだん本を読んでいるかどうか問いただしたりするのは勘弁してほしかったし、何よりも困るのは、家族に本を押しつけて、あとで読んだかどうかチェックすることだった。
(「やんごとなき読者」60ページより)
こ、これは我が身を思わず省みてしまいます…。読書を人に押し付けてないかなー。面白かった本を思わず人に薦めてしまうことがありますが、よほど本好きの人だけに限定しようと思いますw
読書は自発的にするに限りますね。
女王の選んだ結論とは?
女王の読書熱はおさまるどころか、益々増長していくばかり。側近達の様々な妨害も乗り越え、女王は最終的にどんな結論を出すのか。
それは読んでのお楽しみに!