「ロボット」の語源となった作家、カレル・チャペックの「園芸家12ヵ月」がユーモラスで可愛い。
園芸☓SF作家=カレル・チャペック
チェコが生んだ偉大なSF作家、カレル・チャペック。「ロボット」という言葉を作った(※)と言われている彼ですが、意外にも園芸に関するエッセイを書いていました。
※「ロボット」という言葉の生みの親であると言われていますが、実際には実兄ヨゼフが作ったとのことです。
戯曲『ロボット(R.U.R.)』において、「労働」を意味するチェコ語: robota (もともとは古代教会スラブ語での「隷属」の意)から ロボット という言葉を作ったと言われるが、彼自身は兄ヨゼフが作った言葉だと主張している。
それがこれ、「園芸家12ヵ月」です。
実は兄のヨゼフ・チャペックとの共作
随所に散りばめられているのは、画家であり、作家でもある実兄、ヨゼフ・チャペックのイラストです。見開きページに二点あったりと、かなりたくさんの可愛いイラストが登場します。
一生懸命な人って、どこか可笑しい。
園芸家の12ヵ月を、1月から12月まで、一ヶ月ごとに書いています。心から花や樹木を愛して、情熱を注ぐ園芸家たちの「あるある」ネタが、ユーモアたっぷりに綴られています。
例えば、日照りに心を痛め、豪雨が降れば、飛んで行ってユリに添え木をする。その癖、おとなりさんには「ヤア、もっとたくさん降ってくれるとよかったんですがねえ。木のためには少なすぎましたよ」なんて強がってみたり…。
また有る時は人間が地面から遠く、二足歩行する生き物であることを嘆いてみたり。
園芸家は文明によってつくり出された人種であって、自然淘汰の結果ではない。園芸家が、もし自然から進化したとしたら、外観がちがっていたはずだ。第一、しゃがまないですむように、カブトムシのような脚をしていただろう。そして、翅(つばさ)をもっていただろう。そうすれば、見た目もきれいだし、花壇の上をとぶことができたからだ。
63ページより
終始この調子で、全てが園芸のためにあるかのような論調が面白い。
園芸について全くの初心者でも笑えます
何かに対して周りが見えなくなるほど夢中になっている人って、どこか滑稽ですよね。
例えば、極度の潔癖症など、様々な恐怖症を持った「名探偵モンク」もそうです。
恐怖症を持っているとはいえ、ピカイチの探偵能力を持つモンク。本人は至って本気なのに、まるでコメディアンのように面白い。みんなに愛される、人気テレビシリーズです。
真剣に物事にあたっていても、人々の笑いを誘うのは往々にしてあることですね。というわけで、カレル・チャペックの園芸悲喜こもごもを、苦笑いしながら見守ろうではありませんか!