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“月6万円で豊かに暮らす!” – 川上卓也「貧乏という生き方」


LET’S ENJOY POOR LIFE

貧乏という生き方

この本との出会いは、大型書店で平積みされていたのを見かけてからだ。「月6万円で豊かに暮らす」という帯の文句に、どうしようもなく惹かれた。「月6万円でいったいどうやって生活していくんだ、家族がいれば、家賃や家のローンだけでもそれを超えてしまうのに」という、単純な疑問と、自分自身が「時間はあるけどカネがない」という生活に近いので気になった。

プラス思考をすれば、身も心も豊かに

表紙には英文でキャッチコピーが添えられており、「LET’S ENJOY POOR LIFE」と書かれている。これがまさに本書の言わんとすることだ。

貧乏は一見辛く悲しい物に思える。だが、口減らしのために子どもを売ったり、ひもじさのあまり畑の芋を盗むこともなくなった現代の貧乏は、見方一つでとても楽しく充実したライフスタイルに変貌する。

そんなエピソードを本書から紹介しよう。
例えば、敗戦後によく食べられていた「すいとん」1は、東北地方の郷土料理「ひっつみ」とほぼ同義である。
「すいとんです」とお客様に出すと「貧乏人がまたすいとんを食べている」と思われるかもしれないが、「東北の郷土料理、ひっつみです」と出すと、昨今耳にするご当地グルメを家で楽しめた気がして、お得感がある。

他にも、材料がニラと小麦粉だけのシンプルな料理でも、水で解いて焼くだけで「沖縄料理のひらやーちーです」とも言える。(我が家ではよく「韓国料理のチヂミです」と言っている。)

しかも、防腐剤が入り肉の多いコンビニ弁当を食べるよりも、遥かに身体に優しいときている。そもそも、コンビニ弁当を購入すると1食あたりの単価が上がってコストパフォーマンスも悪い。(自炊すれば、安い時は1食あたり数十円ほどで済む。)

本書には、いずれもレシピが付いているので簡単に実践出来る。レシピまで掲載されているとは期待していなかっただけに、地味に嬉しかった。

どんな生活が自分に合っているか

とはいえ、仕事をしながら自炊するのが難しい人もいる。本書の著者は、脱サラした「貧乏写真家」である。(作中では「アルバイト」という記述もある。)会社勤めではなく、フリーランス(フリーター?)として仕事をしているからこそ、実現出来る貧乏生活なのである。

まさに

なんとために生き、なんのために貧乏をするのかは、人それぞれ
(本文52ページ)

であって、会社勤めの安定した生活を望む人も、起業する人も、政治をする人も居ないと経済は回らない。

時間はあるけどカネがない。
カネはあるけど使う時間がない。
時間も無ければカネもない。

色んなパターンがあると思うが、一度きりの人生をどうやって生きていくか、今一度考える良い契機になった。

100円ショップは貧乏の敵?

貧乏生活の強い味方だと思っていた100円ショップだが、著者にこっぴどくこき下ろされている。曰く、100円ショップにお金を使うのは無駄である、と。その理由については本書を読んでいただければと思うが、言われてみればそうかもな、と納得してしまった。

また、これは予想通りだったが、貧乏生活とコンビニは相容れないものらしい。納得だ。

「消費の快楽を忘れ」る事も、貧乏生活を嗜む上で必要な心構えかもしれない。

楽しむべき事は楽しむ

貧乏ではあるが、心も身体も無理をして切り詰めていては続かない。著者は、貧乏なのにお酒を飲むし、旬の野菜や魚を楽しむ「食の贅沢」を堪能している。秋刀魚が出れば秋刀魚を買うし、安酒の代表「トリス」(ウィスキー)を楽しむ。

全力で楽しむものだから、読んでいる方もワクワクしてくる。「トリス」を使っていかに晩酌を楽しむかに全力を注いでいる。どんな肴をつくるか、どうやって飲むか(何で割るのか、冷たいか温かいか)を工夫している。

著者は愛煙家だそうで、貧乏生活ながらも喫煙を続けている。これもタダの喫煙ではない。如何に安くするか、楽しむかを実践している。なんとキセルまで使うのだ。キセルといえば、美術館で見る浮世絵くらいしか思いつかないが、現代でも脈々と受け継がれているらしい。

楽しみがないと続かない。貧乏でも楽しく生きていきたい。

  1. 小麦粉を水で練ったものを入れる汁物 []

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