乳頭保護器(シールド)での授乳から、直接母乳までの道のり
赤ちゃんが生まれてから約一ヶ月間、上手くおっぱいを吸うことができませんでした。そんなことがあるという事実を想定しておらず、近いうちに吸えるようになるのかなぁと漠然と思っていましたが、数日経っても数週間経っても吸えなかったのでとても焦りました。
助産師さんから言われたのは、
- 赤ちゃんが小さく生まれてきたため、口が小さい(出産時2,200gくらいでした。)
- まだ乳頭がほぐれてない(硬い)ので吸いにくい
- わたしの乳頭が小さめ
ということでした。どれが決定的な理由かは分かりませんし、どれもが原因かもしれません。
まず対応できそうなのは乳頭をほぐすこと。赤ちゃんが吸いやすいおっぱいにするには、耳たぶほどの柔らかさにする必要があるということでした。また、赤ちゃんに吸わせることで乳頭も吸いやすい形状に変化するということだったので、搾乳やマッサージでほぐしつつ、乳頭保護器(シールド)で授乳していました。シールドについては赤ちゃんがおっぱいを上手く吸えない時、乳頭が傷ついた時に「乳頭保護器」に助けられましたという記事にも詳しく書いていますが、カネソンの「ママニップルシールド(S)」を使っています。
結局直接おっぱいを吸うことができたのは、生後27日でした。
産まれてから直接おっぱいを吸えるようになるまでの約一ヶ月間、赤ちゃんへの申し訳なさと、自分がダメな母親なのではないかという暗澹とした気持ちで過ごした日々が忘れられません。
ネットで色んな情報を検索しましたが、人によって千差万別。参考になる部分も、ならない部分もありました。とはいえ、参考になる情報でいくらか心が救われたのも事実です。私の体験を記録しておけば、誰か似た状態の人の気が休まるのでないかと思い、まとめてみます。
シールドを使いつつ、たまに直接吸わせる練習をしてやっと成功
生後0日〜生後23日
生まれてからずっとシールドでしかおっぱいを吸ってくれなかったので、精神的にもだいぶ参りました。わたしのおっぱいのせいかな、それとも抱き方が悪いから吸えないのかな、赤ちゃんを小さく産んでしまったわたしが悪いのかな、などと自分を責めるようなことを考えてしまって、授乳が嫌いになりそうでした。
それでも母乳は少しずつ出ていたので、シールドを使って吸わせ、搾乳したものを飲ませ、足りない分はミルクで補って…という生活を続けました。
たまに直接吸わせる練習をしていましたが、5回ほどコクコク吸う程度ですぐに外れてしまいます。自分の授乳方法が正しいのか、5回ほどコクコク吸った時は成功しているのか、はたまたすぐ外れるということは失敗なのか、とにかく何が正解か分からないのでとてもイライラしました。
縦抱き、横抱き、フットボール抱きなど色々試しましたがどれも上手くいきませんでした。助産師さんは、赤ちゃんが大きく口を開けた瞬間にパッと乳首にくいつかせるようにしていたので、それを真似てみますがダメでした。
また、上手く吸えないせいかギャンギャン泣いてこちらまで悲しくなりました。泣かれるとわかっているので直接吸わせる練習もたまにしかしなくなっていきました。
生後24日〜生後30日
それでも上手く吸えるようになったのは、桶谷式の母乳外来に行ってからです。それまでも行くべきだとは思っていましたが、どんなものか分からない不安でズルズルと日数が経ってしまい、産後24日目にして初めて母乳外来に行きました。
母乳外来で直接吸えない旨を相談すると、補助をしてもらって初めてちゃんと直接おっぱいを吸ってくれました。横抱きより縦抱きの方が吸いやすいということで、縦抱きの補助をしてもらいました。
吸い始めだけ補助してもらいましたが、吸い始めた後は自分で抱っこした状態で長い時間吸ってくれたので、それが自信に繋がりました。今となっては、もっと早く母乳外来に行けば良かったと思います。
その後も自宅で頻繁に直接母乳を試し、ついに産後27日目に初めて補助なしで直接おっぱいを飲みました。この時は涙が出そうなほど嬉しかったです。
またシールドを使ったら二度と直接母乳に戻れないかもしれないという恐怖心から、その日から全て直接母乳に切り替えました。なかなか吸えないので相変わらず泣きますが、何分かかっても諦めずに直接吸わせていると、いつしか泣く時間が減ってきたように思います。
この時期から一旦シールドは卒業しました。
生後31日〜生後33日
直接母乳に切り替えたことは大きな喜びでしたが、一週間ほど頑張っていると乳頭の痛みがピークに。 おそらく赤ちゃんがまだ慣れておらずつぶし飲みをしているせいで、皮が剥けたり、血が滲んだりします。その後かさぶたになりますが、それでも吸われると痛い。
毎回の授乳でうめき声が出るほど、本当に痛かったです。吐き気がして、脂汗が出たりもしました。同じ授乳姿勢だと一箇所が集中的に痛くなるので、横抱きやフットボール抱きなども試しました。が、まだ縦抱きでしかちゃんと吸えず、乳頭の痛みが軽減することはありませんでした。
生後34日頃から乳頭に塗る「ランシノー」を使い始めました。ランシノー は羊の毛から得た天然油脂を精製したもの。授乳時に拭き取る必要がないので、授乳後に乳頭にコッテリ塗ります。
とはいえ、劇的に回復するわけではないのでしばらくは痛みが続きます。授乳時の痛みへの恐怖から、授乳回数も1日6回くらいまで減った日もありました。
生後36日〜生後37日
ちょうど赤ちゃんの生後一ヶ月検診があり、小児科の先生に相談する機会がありました。そこで言われたのが、乳頭保護器を使っても授乳回数を増やした方が良いということでした。何度も吸わせることで母乳量が増えるし、赤ちゃんの体重も増えますが、この時は正常な成長曲線よりも少し体重が下回ってしまっていました。
それまでは痛くても直接母乳で頑張っていましたが、小児科の先生に「乳頭保護器を使っても良い」と言われたことで気が楽になり、そこからまたカネソンの「ママニップルシールド(S)」を使い始めました。しばらくは授乳するたびにランシノーをこってりと塗り、乳頭保護器を使っての授乳に切り替えました。
生後40日〜生後48日
このままずっと痛いのかと絶望的な気分になっていましたが、乳頭保護器を使うことで授乳の恐怖心も薄れ、だいぶ回復したため、ふたたび直接母乳に挑戦しはじめました。痛みがひどくなってきた時や、夜起きての授乳時には乳頭保護器を使い、それ以外は直接母乳、という方法で数日過ごしました。
生後48日が過ぎた現在では、だいぶ乳頭も柔らかくなり、日中は直接母乳で安定してきました。もしまた傷ができたら乳頭保護器も併用しようと思いますが、しばらくは直接母乳でがんばってみます。
無理をしない授乳が一番
母乳至上主義といった風潮があるので多少無理をしてでも母乳を吸わせるという空気が出来ているように思います。わたしもその空気に飲まれて無理をしていましたが、便利な道具をうまく使って疲れてしまわないように長続きすることが一番だと思いました。
直接母乳にこだわって授乳回数が減るよりは、乳頭保護器を使って何度も授乳する方が良い。 夜中に授乳で泣かれるのは近所迷惑だし、眠いので体力的にも精神的にもキツイです。そんなときは乳頭保護器を使っても良いと思います。
一日に何度も授乳する期間は長く続きます。途中で折れてしまわないためにも、ところどころ妥協点を見つけて上手く続けていきたいと思います。